箱庭コント181「どこだってステキさん」
(あらすじ)図書館の交流ラウンジで、ここあん高校生の矢尾リリカが、今朝自宅で母の玲子から聞かされた奇妙な自己愛のフレーズが耳から離れず、本を片手に頭を抱えている。周囲の司書や講師たちが交わす何気ない会話の語尾がすべて母の口癖に聞こえてしまい、リリカは、村全体が母の自己愛に侵食されていくような錯覚に襲われる。
箱庭コント182「朝食のベートーヴェン」
(あらすじ)公民館の給湯室で、ガールズバンド「栗きんとん99」のいときちとうたまろが、朝食の目玉焼きの焼き方を巡って激しい口論を繰り広げている。コーヒーを淹れに来た現代思想家の氷上静が、2人の低次元な争いを自己と他者の実存的葛藤のメタファーとして捉え、内心で哲学的な分析を巡らせながら見守る。
箱庭コント183「あくびはクビだから」
(あらすじ)きさらぎタウンの「微笑書店」の店内。アルバイトの映像制作者ぺらいちまいが、店番をしながら気取ったト書きを呟いて退屈そうにあくびをしている。同じく店番をするここあん高生の矢尾リリカが、その大仰な独白をうるさいと一蹴し、「あくびはクビ」という言葉の出典である洋書絵本を持ち出して冷ややかにからかい始める。
箱庭コント184「しぼってハチミツレモンティー!」
(あらすじ)きさらぎタウンの「微笑書店」のカフェスペース。ガールズバンド「栗きんとん99」のメンバーたちが、新曲の方向性についてレモンのような激しい酸味を求めて話し合っている。店長の微笑えみ緒が近づき、流体力学や味覚の観点から底へ沈殿するハチミツの性質を語り、新曲の解釈として冷静な講釈を垂れてくる。
箱庭コント185「えみ心とえみ緒の多様性」
(あらすじ)きさらぎタウンの「微笑書店」のカフェスペース。ここあん大学講師の三成ミツヒデが、以前店主姉妹を取り違えたミスを反省し、ふたりを完璧に識別するための行動データモデルを構築している。妹の微笑えみ心が近づいて話を聞く中、奥でトラブルが発生し、姉妹が普段の予測とは正反対の行動を取ったことでミツヒデの計算が狂い始める。
箱庭コント186「お虎はんの秘策」
(あらすじ)椎名町三丁目の「ものがたり屋」のカウンター。店主の真田まるが朝の時間を過ごしている。熱狂的な阪神ファンであるフリーライターのおはぎはんが、前夜の敗戦にもかかわらず晴れやかな顔でやってくる。不思議がるまるに対し、おはぎはんが試合結果に一喜一憂しないために編み出した独自の観戦回避ルールを得意げに語り聞かせる。
箱庭コント187「魚座だから」
(あらすじ)昼休みのここあん高校学食。ここあん高生のカートがテレビの星占いを見ながら、魚座はいつも最下位に割り振られる運命にあると愚痴をこぼす。向かいに座る文学少年のケニーが、偏った妄想だと呆れて聞き流そうとするも、本当に魚座が12位に選ばれたことで、カート独自の不条理な宇宙的諦観に付き合わされる。
箱庭コント188「楽園」
(あらすじ)アパート「音巴里荘」のエントランス前で、大家の阿斗理恵が住人たちの洗濯物をたらいで豪快に手洗いしている。そこへ、謎の姉妹がサビた軽バンで乗り付け、看板の修繕を始める。姉妹がアパート名の響きをポルトガル語の「楽園」と聞き違えて笑い出したため、通りかかった翻訳家の菜箸かなが言葉の意味を解説し始める。
箱庭コント189「『ねないこだれだ』問題」
(あらすじ)きさらぎタウンの「微笑書店」の絵本売り場。ここあん高校生のカリソメ君が名作絵本を手にとり、題名をずっと記憶違いしていたと同級生のショパンに漏らしている。その認知の歪みに興味を抱いたショパンが、音響心理学や認知バイアスなど様々な学術的仮説を次々と繰り出し、カリソメ君を大仰な思考の旅へと強引に巻き込んでいく。
箱庭コント190「初恋やかん年賀状」
(あらすじ)年末。アパート「音巴里荘」の一室。書道家の硯毛八が、最後の年賀状のやり取りだけは手書きで魂を込めたいと筆を構えている。こたつでパソコンを操作するここあん大学院生の平泉慧が、手書きは熱効率が悪くエントロピーの無駄遣いだと冷徹に批判し、毛八の文字への特別な愛着を淡々と語りながらデータ化を迫る。
箱庭コント191「ビニール越しの純文学」
(あらすじ)ここあん大学のラウンジ。音楽家の五郎寺圭音が、活字の純文学を読もうと購入したビニール包装の単行本を前に期待を膨らませている。通りかかったここあん大学院生の篠田律が、帯に書かれた文言を遺伝情報の系統樹になぞらえて分析し始め、開封した中身の予想外な構造を巡って議論を仕掛けてくる。
箱庭コント192「カーボベルデ合戦」
(あらすじ)ここあん大学の学生ラウンジ。同大学院生の古暮賢人や金田エリたちが、テレビに流れた見知らぬ国名に戸惑い、情報戦の遅れや世界の異変を不安がっている。ソファで微動だにしない理論物理学専攻の平泉慧が、検索のエネルギーを節約するために世界の国名を今すぐ全暗記しろと命じ、一同に無駄な調査競争をけしかける。
箱庭コント193「漱石の月がきれいだとかどうとか」
(あらすじ)クリーンセンターで、ここあん図書館のアーカイブ担当である芳野結衣が、持ち込んだ大量の図書カードを地面に散らばらせて慌てている。同じく不用品を出しに来たここあん大生の岸辺義道が手伝いに入り、ふと空を見上げて月が綺麗だと呟いたことで、結衣が文豪の告白の言葉と受け取って過剰に動揺し、激しい拒絶を返してくる。
箱庭コント194「劇団かもかも 演技進化論」
(あらすじ)公民館の稽古場で、劇団「かもかも」の女優おはぎはんが、医者役の恋流波陽からセリフを受け、言葉の意味を深読みして長い沈黙を作ってしまう。座付き作家の徒然士が芝居の間が長すぎると苦言を呈する。演出家の鴨下留美子が割って入り、言葉の多重な葛藤を表現する沈黙こそが前衛的だと大仰に肯定し始める。
箱庭コント195「干からびた感想」
(あらすじ)ネイルサロン「サウザンサウザン」の店内。パン屋店主の生地こね子が、焼き上げたばかりのドイツパンを手に飛び込み、オーナーの千田千冬に感想を聞かせてもらおうと迫る。合理主義者の千冬が、ネイルの「乾燥」や室内の湿度の話だと事務的に受け取ってしまい、同音異義語のすれ違いから二人の会話が噛み合わないままヒートアップしていく。
箱庭コント196「火星の砂肝」
(あらすじ)スーパーの精肉コーナーで、大学院生の古暮賢人が砂肝のパックを食い入るように見つめ、星雲や南米の砂漠のような宇宙の縮図だと陶酔している。父が経む居酒屋の仕込みに来たガールズバンドメンバーべんべんがパックを譲るよう頼み込むも、古暮が砂肝に秘められた壮大な矛盾とロマンを熱っぽく語り出し、激しいツッコミを浴びせられる。
箱庭コント197「バックアップ取ってません」
(あらすじ)とある喫茶店の席で、東山キイロが、向かいに座るここあん高生の神崎一樹の持ち物や仕草が自分と不気味なほど一致していることに気づいて問い詰めている。一樹は、キイロの行動を完璧に予測するために思考を同期させた結果、過去の自分のデータが上書きされて元の自我を失ってしまったと淡々と説明し、キイロを困惑させる。
箱庭コント198「うたまろ、歌姫への道」
(あらすじ)公民館の音楽室で、ガールズバンドのドラマーたたこが、サビのリズムが前につんのめっていると演奏を中断させる。ボーカルのうたまろが自分は正確に数えていると反論するも、たたこから小さい「っ」や「ん」の発音を勝手に省略して歌う癖を指摘され、リズム隊のテンポを狂わせていると手厳しくダメ出しを浴びせられる。
箱庭コント199「CMYK異邦人」
(あらすじ)深夜のコインランドリーで、翻訳家の向原佐和がベンチで読書に耽っている。映像制作の美術を担当するしあんまぜんたが大量の洗濯物を抱えて現れ、服の色濁りを防ぐために洗濯機を6台同時に占有しようとしたため、佐和が他の客への迷惑を指摘しつつ、その過剰なこだわりを文学の言葉で「狂癖」と冷ややかに評する。
箱庭コント200「ここに古語」
(あらすじ)自宅のリビングで、ここあん高生の天野光が小説の執筆作業に行き詰まり、以前耳にした「くららか」という言葉を明るく朗らかな意味だと思い込んでセリフに使おうとする。ソファに座る母でここあん大学講師の空野円が、それは暗い様子を表す古語だと淡々と指摘し、そのまま使うと悲惨な告白になると娘の勘違いを穏やかに諭してくる。



