箱庭コント141「八月の濡れたソフトボール」|地層1
(あらすじ)早稲田大学近くの喫茶店で、シナリオ研究会に所属する大学生の恋流波東彦が、夏合宿帰りのひどい筋肉痛に耐えながら座っている。同席する年上の社会人中野あやねが、映画サークルらしい合宿の成果を尋ねるも、東彦からひたすらソフトボールに明け暮れた不可解な合宿の実態を打ち明けられる。
箱庭コント142「ごめんなすって」
(あらすじ)商店街のスーパーの前で、フリーライターのおはぎはんが取材メモをとっている。買い物帰りの新浪いちごが、人混みを避けるため手刀を切りながら進み出てきたため、おはぎはんが関西のおじさんのようだと茶化すも、いちごから空気抵抗を最小化する物理的な最適姿勢だと真顔で反論される。
箱庭コント143「綿毛と正論」
(あらすじ)ここあん図書館のエントランス前の庭で、館長の高島雅也が景観の秩序を守るため、外来種と決めつけた黄色いタンポポをすべて草むしりして満足げに立っている。副館長の真木まきが歩み寄り、抜いた花こそが保護すべき在来種であるという動かぬ事実を穏やかな笑顔で突きつける。
箱庭コント144「常々疑問だったのですが」
(あらすじ)椎名町三丁目の「ものがたり屋」。カウンター席で、フリーライターのおはぎはんが現場の熱量を込めたルポを書き上げ、力強くキーボードを叩いている。隣に居合わせたここあん大学講師の三成ミツヒデが、打鍵圧の異常さを指摘した上、過剰な修飾表現は読者の認知負荷を高めるだけだとデータ解析を盾に冷静なダメ出しを浴びせる。
箱庭コント145「ステキさんのちょんまげ」
(あらすじ)ここあん村の喫茶「小古庵」。カウンター席で、ステキさんこと矢尾玲子が夫の体調不良すら美化する極端なエピソードを店主の神崎志乃に語り聞かせている。離れた席で執筆していた文芸評論家の徒然士が、あまりの身勝手さと倫理観の欠如に耐えかねて立ち上がり、縁を切れと猛烈な勢いで詰め寄る。
箱庭コント146「未来の温度」
(あらすじ)ここあん高校、肌寒い放課後。文芸部の部室。女子バスケ部の天野光がやかんを手に持ち、ストーブでお湯を沸かしてよいかと尋ねている。そこへ文芸部部長の黒崎文が、沸かすのは水であり結果と過程の混同だと厳しく叱責し、さらに部員の神崎一樹が言語学的な生産動詞の正当性を持ち出して議論に口を挟む。
箱庭コント147「宿派と食派」
(あらすじ)学会会場近くのカフェテラスで、ここあん大学講師の鍋島潤が、旅の醍醐味は現地の食と交流であり宿は寝るだけで十分だと主張。同席する同僚講師の徒然士が、宿とは自己を預ける神聖な棺桶であると反論し、空間の深寂や様式美を軽視する鍋島の浅薄さを厳しく咎め立てる。
箱庭コント148「好きです神崎さん!」
(あらすじ)ここあん大学の講師控室で、文芸評論家の徒然士がパソコンを睨みつけ、教務システムの画像認証に出る俗っぽい文字列が日本語の様式美を破壊していると激怒。同僚講師の鍋島潤が、民衆の生活感あふれる生きた言葉だと面白がりながら、更新を繰り返す徒然士の頑なな態度をからかい始める。
箱庭コント149「商店会長はトニック派」
(あらすじ)ここあん村の居酒屋「ここきた」のカウンター席。完璧主義のピアニスト糠森ひなが「ここきた」名物ラブちゃんの筑前煮を味わいつつも、店内の喧騒に耳を痛めている。隣に居合わせた商店会長の郷田剛が大声で酒のおかわりを叫び、その濁声に含まれる狂いのない音程と豊潤な倍音にひなが衝撃を受け、猛烈な勢いで惹きつけられていく。
箱庭コント150「5000人の夢オチ」
(あらすじ)ここあん村村長の緑野翠が、村の人口が五千人に急増して自分の目が届かなくなる悪夢を見たと戦々恐々としている。居合わせた村唯一の議員であるたたこと高校生の矢尾リリカが、五千人という規模への認識の違いや村長の極端な統制欲に冷ややかなツッコミを入れ、危機感を煽り立てる。
箱庭コント151「愛のアルマジロ」
(あらすじ)生放送中のスタジオで、FMここあんのDJ鈴本美沙が、プレゼント応募キーワードを告知し、リスナーへ愛の贈り物をアピール。ここあん大学院生の篠田律からスタジオに電話が入り、キーワードの入力結果がURLとして機能せず論理的に破綻していると、厳密な正論でクレームを突きつけてくる。
箱庭コント152「稽古無限編」
(あらすじ)公民館の稽古場で、ここあん村の劇団「かもかも」の実力派女優である赤井葵が、同じ場面の稽古ばかりが半年以上も続き本番が一向に訪れない不条理を嘆く。座付き作家の徒然士が新たな決定稿を抱えて現れ、未完の美の追求こそが真の芸術だと大仰に説き、永遠に終わらない稽古のループへ引き戻そうとする。
箱庭コント153「予期せぬキャスト」
(あらすじ)ここあん図書館のスタッフルームで、主任司書の菜箸千夏が、テレビ画面に居座る謎のポップアップ表示を消去できず苛立ちを募らせている。そこへ同僚司書の鈴木美桜がやってきて、不用品を溜め込んだコンテナに腰掛ける動作と画面表示が連動していることに千夏が気づき、不可解な電波干渉の調査を迫ることになる。
箱庭コント154「甘いオフサイド」
(あらすじ)生活感のない自宅の部屋で、激務を終えた編集者の鶴亀昌子が、思考停止して脳を休めるためにテレビのサッカー中継を流しながら休息している。そこへケーキ屋オーナーの丹波りんが特製タルトを手に押しかけ、過去の約束を口実に昌子の鉄壁の理性を甘い誘惑で溶かしてやろうと至近距離から挑発を仕掛けてくる。
箱庭コント155「無口な雨粒の内緒の話」
(あらすじ)雨の降る湖畔のブックカフェ「シズカ」の店内で、共同オーナーの中野小春が窓を眺め、何かに衝突するまで無音で落下する雨粒を健気なおしゃべりのようだと愛でている。本を読んでいた店主の氷上静が、意志なき物理現象に感情を重ねる目的論的な錯覚だと退け、冷静な科学的根拠を並べて小春の情緒的な見方を解体しにかかる。
箱庭コント156「君たち、ひと玉いくらだね」
(あらすじ)ラジオの生放送スタジオで、FMここあんのDJ高橋あゆみが、昭和の名曲に込められた男女の絡み合う情念の美学を熱っぽく語っている。同僚DJのミサンガが、曲名にある果物の共通点は「ひと玉」という数え方の統一にあると青果店のような持論を挟み込み、楽曲のロマンをあっけらかんと解体しにかかる。
箱庭コント157「よかよかよ」
(あらすじ)ここあん村の居酒屋「ここきた」のカウンター。現代思想家の氷上静が名物の筑前煮を口にし、出汁の浸透圧や化学変化の完璧さを客観的に分析している。店主の渡良瀬愛子が電話で博多弁の「よか」を多用して戻ってきたため、静が肯定から拒絶まで瞬時に変容する究極のハイコンテクスト言語だと感銘を受け、熱心に構造を追及し始める。
箱庭コント158「エミですばい」
(あらすじ)ここあん村の居酒屋「ここきた」のカウンター。九州から戻った女子大生の渡良瀬エミが、持参した郷土菓子のお土産を先輩の恋流波陽に手渡している。陽が、エミの口から漏れた方言の可愛らしさに夢中になって距離を縮めようとするも、不用意に別の女性の話題を口にしたことで、エミの抑えていた感情を激しく刺激してしまう。
箱庭コント159「孤独とエピクロスの庭」
(あらすじ)氷上静の書斎で、大学生の恋流波陽が持ち込んだ銘柄焼酎のボトルを前に、自らの孤独を樽の中で熟成される美しさに例えて陶酔している。デスクで洋書を読んでいた静が、単なる化学変化に孤独を仮託する知性の怠慢だと冷ややかに切り捨て、古代哲学者の概念を持ち出して孤独の防御壁としての実態を説き始める。
箱庭コント160「五徳の御託」
(あらすじ)ここあん村の編集プロダクション「ぽんちょ」のオフィス。社長の古河モン太郎が、ガスコンロの「五徳」という名称の由来に熱い歴史ドラマが隠されているのではないかと興味を抱く。校了作業を進める凄腕校正者の辻さゆりが、語源の諸説を解説するコストの膨大さを理由に回答を拒絶し、生産性を下げる無駄なノイズだと一蹴する。


